恋するフォーチュンクッキーと指原莉乃(以外のいろいろ)論

「さむいね」
「さむいのどこだろうね」
「はらじゃないかね」
「はらとったらいたいだろうね」
「こないださ、バカなヒョーロンカが書いてたの」
「えーけー」
「びー」
「いい曲だよね。70年代のディスコサウンドで。踊りも」
「だれ作ってんの、ダンスマン?」
「さあね」
「歌詞の分析とかってね、そのバカ、内容空疎だと。こんな曲はなにも言ってないに等しいと」
「ほう」
「ポップミュージックがどうたら、阿久悠なんか引き合いに出してね」
「なにも言ってないよねえ、たしかに。ポップっていうならそれこそポップだと思うけど」
「バカなんだ」
「どこがバカなんだろうね」
「かかとじゃないかね」
「かかとはがしたらきもちいいだろうね」
「情景描写がないとも言ってたね」
「カフェテリアぐらいだって。後の情景がちっとも浮かんでこないって」
「だから?」
「知らない。陳腐だって言いたいんじゃないの」
「ふーん」
「極めつけにはさ、地味で目立たない女の子がサビで弾けるだろ。未来はそんな悪くないね、人生捨てたもんじゃないよね」
「素晴らしいよなあ」
「でもそのバカはお怒りなわけ。いきなり弾ける必然性がない。そこに至るストーリーが描かれてない、雰囲気だけの歌詞だって」
「ひどいな」
「そうなんだ。秋元康がセンターに立つ子に合わせて歌詞書くって知らないのかな」
「知ってても関係ないんじゃない。エラソーなこと書ければ」
「なーる。地味で目立たなかった女の子がついにセンターへって指原のサクセスストーリーがさ、恋愛のそれに重ね合わされてるわけでしょ」
「言うのもアホらしいけど、個人の物語を一般化して作品に仕上げるのがポップってことだよね。だからラブソングなんか雰囲気だけの方がいいんだ」
「指原のサクセスストーリーが広く共有されてる前提で恋するフォーチュンクッキーは書かれてるわけだから。ストーリーがないなんて思いこんでるのはこいつぐらいのもんでしょ」
「みんなわかってるよ。だから恋するフォーチュンクッキーに不足なんてない。女の子が弾ける理由を足しちゃったら、指原のストーリーと切れちゃうもんね。センターに立たせる意味がない」
「カフェテリアでノリのいい音楽が流れ出す、なんとなくウキウキする。こんな程度のきっかけにとどめとかなきゃ、かえって書きすぎになっちゃう」
「そうそう、リスナーはあの指原がセンターを取ったってドラマだけでおなかいっぱいなんだから」
「それにしても、まさか本気でこのぐらいのことわかってないってんじゃないよね」
「いやだからさ、なんでもいいわけ。でっかいもん攻撃して気持ちよくなれりゃ」
「だけどいくらでもあるわけだろ、攻撃の仕方なんて。指原のストーリーが共有されてる前提で歌詞書いてる秋元康の傲慢を切るとかさ、歌詞は作品として純粋独立していなければならない、とか」
「あり得る批判だわな。宇野常寛とかやりそう」
「宇野さんは、総選挙のラストでさっしーがいいともー!ってやったことにえらいこだわってたもんね」
「なになにしてくれるかな、いいともー!ってやり取りが広く共有されてる前提を疑いなく受け入れちゃってるさっしーに危惧を感じたと」
「気持ちはわかるけど。テレビっていう既得権益にしがみつくメディアの助けを借りずに、総選挙に見合った新しい方法を提示してほしかったってことなんだろ」
「彼らしいよね。だけどさ、それってあまりにナイーブな考えでしょ」
「男の子はナイーブなの。カネボウナイーブ(笑)」
「そうやってすぐおちゃらけてごまかそうとするあたり、ナイーブだよなあ」
「わるかったな(笑)ていうかこのヒョーロンカ、内容空疎って指摘するだけで批判が成立するって思い込んでるとこがおめでたいよね。キョービ誉め言葉だろそんなの」
「なにも言ってないのはどっちだ!って?(笑)空疎っていうなら阿久悠だってジューブン空疎だしね」
「いきなり阿久悠を引き合いに出すこと自体ダサいけどさ。でもやっぱ一味違うよね。こいつが引用してるペッパー警部だって、もともとそんな言葉の組み合わせはなかったわけだろ。シュルレアリスム的に新しい言葉を作り出して、それを大ヒットさせるなんて芸当、秋元康にはできない」
「できなくはないんじゃないかな。ただ、一枚二枚程度が落ちるんだよ。妙に俗っぽくなっちゃう」
「そこがやすすのいいとこじゃん(笑)好きな監督がゴダールとカラックスってわりに、あの異様な俗っぽさはなんだよって」
「ま、それが生き残ってる理由だわな。世間的には名曲とされてるらしい川の流れのようにだって、ただの俗っぽい人生訓だろ」
竹中労だったか平岡正明だったか、憤ってたな。ひばりの本領はそんなところにはないって」
「にしても、指原ってとんでもない化け物だよね。ヘタレキャラとか言ってさ、スキャンダルもテレビもなにもかも吸収してぐんぐん突き進む図太さったらないよ」
「成長っちゃ成長なんだけど、こわいよねえ」
「林真理子との対談見た?」
「いや」
「震えるぜ(笑)」
「ほーう」
「相手が林真理子ってのはしかし・・・図太さとブス芸の先輩として呼ばれたんだろうけど、おばさんじゃダメだね。おばさんがブスで図太いのは単に見られてる意識の欠如でしょ」
「とんでもないこと言うなあ。フェミニストに刺されるぞ(笑)その見られてる意識を強制してるのはだれだ!って」
「おまえら男だろ!って?いやそれはそうなんだけどさ、問題はもっと複雑なわけ。女を見られる性に変えてしまうのが男の視線だとしても、ともかくアイドルってのは見られる意識がもっとも先鋭化されたあり方でしょ?」
「そりゃね。アイドルはうんこしないって神話は、完全プライベートなトイレすら見られる空間として扱われるっていう逆説を導き出すもんね」
「男の、社会のって言い換えてもいいけど、見る視線を逆利用して自分の価値を高めていくノウハウ、これが一般にアイドル力って言われてるものの正体だよね」
「かわいいは、つくれる!(笑)アイドル戦国時代とかいわれてるのは、要するに今が自己演出の時代だってこと。AKBはそのモデルケースなんだ」
「クラスで三番目くらいにかわいい女の子でも、自己演出次第では学園のマドンナに勝てるって見本ね。それってなにも美醜の問題だけじゃなくてさ、努力すればだれでも成り上がれますよーって社会的慰めなんだよね。そこにきて指原だよ。まさに自己演出モンスター!(笑)」
「最初から意識的だったわけじゃないと思うけど」
「こわいのはそこだよ。ブスでヘタレっていう外側から貼られたラベルに気づいて、ある時点からそれを強化しはじめたわけじゃない?」
「昇格当初は北原と見分けつかないとか言われてたのにね。夏まゆみもわからなかったとか(笑)」
「指原にキャラがつくのは、バンジー飛べなかった頃からだよね。それまでは北原の方が次期エース扱いで目立ってた」
「きたりえなー。もったいないといやもったいない話なんだけど。優等生キャラじゃ天下とれないのかねえ」
「見過ごされてるけどさ、実は甘いキャラだってダメでしょ。AKBの亜美菜とかSKEの平松とか、あれこそもったいない話だよ。ふざけんな!」
「まあまあ、落ち着いて(笑)たしかに、甘いキャラがダメってのはベリーズのももち見ててもわかるよね。もはやパロディにしないと成立しないという」
「だからさ、インターネットってのは結局種明かしだと思うんだよね。それまでの世界は手品だったんだ。新聞やテレビは手品師だった。だけどインターネットは、手品の種も手品師のテクニックも全部暴いちゃったんだ。それでどうなったかというと、だれもが物事をそのままには受け取らないようになった」
「そりゃ種があるってわかってりゃ素直に楽しめないわな」
「注意したいのは、種があることはわかっても、どんな種かまで見抜ける人間は少ないってことだよ。だけど手品なんだってことだけはわかってるから、とりあえず文句ばっか言うわけ」
マスゴミとか(笑)」
「汚い言葉だよなあ。勘違いしてるやつっていてさ、真実を伝えるのがメディアの役割だとか。違うんだよ。メディアってのはウソをつくべきなの。ただし、キレイでバレにくいウソをね」
「そう考えるとインターネットってのは野暮だね。その野暮天のせいで今やメディアはヘタなウソしかつけなくなったわけだ」
「それかくだらないパロディね。メディアはメッセージよりマッサージであるべきだ。知ってる?」
「一昔前に流行ったマクルーハン理論ね」
「結局みんなバカに思われたくないから予防線を張るわけだよ。マスコミなんて端から信用してませんよってなポーズを取る」
「韓国だなんだ、陰謀論引っ張り出したりしてね。だけど代わりになにを信じるかっていったら・・・」
「インターネットだろ?くだらないよ。ネットの情報は不確かだからって話じゃない、情報ってのはそもそも不確かなもんだってわかってないところがおめでたいのさ。ネットも新聞もテレビも口コミもみんな同じ。高級な情報なんかあるわけがない」
「なーる。でも、それなら君はこの乱世にあってなにを信じろと?」
「そうだな。あえて言うなら、衝撃力
かな」
「衝撃力?」
「そう。ホントかウソかなんてどうでもいい、自分が衝撃を受けたものをそのまま信じるべきだよ。真実だから素晴らしい、ヤラセだからくだらない、とか理由をでっちあげずにね」
「わからないな。それじゃ作品背景を知る手間を嫌って、感じるままに感じればいい!なんて開き直る感動主義者そっくりじゃないか。怠慢な受け手ってのは、傲慢な作り手同様、君がいちばん嫌いなもののはずだけど」
「安易な感動主義は大嫌いさ。感じたままなんてありえないからね。そんなものがもしあるとすれば、偏見の寄せ集めに過ぎない」
「だろ?この僕にしたって、等身大という言葉を聞くだけで虫唾が走るからね(笑)」
「順を追って話すよ。ムカつく上司の一言でも恋人とのめくるめく一夜でも、グリューネヴァルトの祭壇画でも便所スリッパでもなんでもいい。とにかくなにかに衝撃を受けたとする。そうしたらその衝撃を大切に育てるんだ。次に、ここが君のいう感動主義に欠けてるところだけど、そのものがなぜ自分に取って大切なのかを徹底的に検証する。理由がポンポン見つかるようなのはダメだ。いくら考えてもわからないもの、これだけを全力で信じこむんだ」
「うーん。僕にはその全力でってのが気に入らないね。なにかを信じること自体、もはや有効じゃない気がするよ」
「信仰は必要さ。生きてる人間は必ずなにかを信じてるはずだ。なんにも信じちゃないのは死者だけさ。とはいえ、君は信仰の盲目さを恐れてるんだろうから、誤解は解いておきたい。全力で信じこむ代わり、大切なものの理由を考える機会をできるだけ増やすんだ。今理由がわからないものでも、明日わかることだってある。そうしたらそのものは聖性を失う。この取捨選択を容赦なく続けるんだよ」
「そんな大変な真似、君のような強い人間ならいざしらず、僕みたいな女々しい人間にはとてもできそうにないね」
「まーた皮肉を(笑)信仰って言葉が出るとつい尻込みしちゃうけど、別に大したものじゃない。多かれ少なかれ、だれもがやってることだよ。例えば恋愛。心当たりあるだろ?」
「恋人の聖性が薄れて見えたら別れの合図って?身も蓋もないな。だけど君はロマン主義者だから知らないかもしれないけど、世の中には好きに理由をつけたがる連中が山ほどいるんだよ。かっこいいから、かわいいから、金持ちだから、優しいから。中には、既に別の恋人がいるからってのが理由になっちゃうアバズレまでいる(笑)」
「あのね、そういうのは恋愛っていわないの。せいぜいが結婚の予行演習でしょ。聖なる恋愛を結婚なんて俗悪なものと一緒にしてもらっちゃ困る」
「驚いた!君はどこまでロマン主義者なんだ。恋愛が近代の発明だって事実を知らないわけじゃあるまい?」
「もちろん知ってるさ。だから言ったじゃないか、作られたものであるか、虚構であるかなんて関係ない。恋愛が僕にとってわからないものであり続けてることが問題なんだ。どうしてこんなボロ雑巾みたいになってまであの子に恋焦がれるんだろう、とかね」
「わかりきってるじゃないか。生まれた瞬間から、僕らは恋愛至上主義を刷り込まれてるからだよ。それとも、理由はわかっても納得ができない、こう言いたいのかい?」
「まさにそのとおり。わからないもの、納得できないもの、許せないもの。これこそ僕の神様だよ」
「だけど、それじゃ君は気に入りの女の子の尻を追い回してはこっぴどくやられ、納得できず苦しんだ挙句また別の女の子に、ってサイクルを繰り返すことになるよ。うまくいきっこないことは僕が保証しよう。だってそうだろ、わからないものだけが君に取っての神秘なんだったら、わかった途端にそれはつまらないものになる。ということは、君が恋する相手というのはいつも必ず君の手に入らない女の子なんだよ。これほど不毛なことがあるかい?」
「ないだろうね」
「わかっててなおその態度か。どうしようもないな(笑)さて、くだらない恋愛論かましてる間にそろそろオチだけど、今の話がどう指原に繋がるんだい?」
「なに、簡単な話さ。恋人に接するのと同じように芸術に、その他あらゆるものに接すればいいのさ。指原ってのはとんでもない化け物だって話をしたけど、実際、恋するフォーチュンクッキーのセンターで踊る指原は化け物みたいだろ」
「悪口じゃないか(笑)まあ、言いたいことはわからなくもない。鬼太郎に出てくるぬらりひょんが化粧したみたいだもんな」
「君の方こそひどいぞ、素直に顔がでかいと言ったらどうなんだ(笑)隣にまゆゆがいるからってのもあるけど、単にグロテスクってだけじゃない、あのさっしーはなにか変なんだ」
「それが君の言う説明不能の衝撃ってわけか」
「そのとおり。だから歌詞が空虚とかは論外にしても、指原をセンターに据える違和感が効果的に演出されてる、なんてわかったふうな分析もナシだ。あのへんてこさを簡単にわかったふりしちゃダメだと思うんだよ」
「考え続けろ、と。なんだかとんでもなくさっしーに失礼な気がするけど(笑)」
「気のせい気のせい。気のせいといえば、さむいね」
「さむいね」
「さむいのどこだろうね」
「あたまじゃないかね」
「あたまとったらあったかいだろうね」
あったかいだろうね」



彼女日記2

・某日
わたしはおかしいのかもしれない。彼女をときどき、とんでもなくひどい目に合わせたくなる。
もし目の前で他の男に犯されても、好きなままでいられるだろうか。
考える。



・某日
ひさしぶりに映画を見た。『米屋の歴史』というドキュメンタリー。
「人類開闢以来数千年、遠大な歴史のどの時点において米屋は餅を売るようになったのか。見る者は残酷な真実の証言者となる!」
まじめな映画だったので疲れた。明日からパンに変えよう。



・某日
N遊園地に、足の指数え魔が出没しているそうだ。女性を仰向けに寝かせ、右足の小指から左足の小指に向かっていっぽーん、にーほーん、と声に出して数えていく。10本揃っていることを確認すると、涙を流して去っていくらしい。
情報番組でやっていた対策グッズ(黒ぶちにバターを塗ったキリン)をメモ。



・某日
美術の館<体育の館<水族の館
「の」を付けるとこわい順
つぶれた暇をふくらましたので、明日公園で配ろう。



・某日
朝から便秘気味。パンは消化に悪いのだろうか。しかし『米屋の歴史』を見てしまった今、米食に戻ろうとは思わない。



・某日
むしゃくしゃして、プレイステーションで『THE 米騒動』をプレイする。富山の主婦になって全国の米屋を破壊していくゲーム。レベルが上がるごとに武器が強力になるのは楽しいが、アジテーションがなかなか難しい。全学連風のアジは主婦の心に響かないらしく、タカタ社長を参考にしたら上手くいった。



・某日
今年のクリスマスは遠ざかっていくらしい。クリスマスは近づいてくるものと思い込んでいたが、そんな年もあるのか。これについて、ユング派の心理学者のコメント。
「世界中のサンタを兵糧攻めにすれば、クリスマスのおなかとせなかがくっつき、任意の期日にかち合うはずだ。人道上の問題?簡単なことだ。キリスト教徒のサンタには、持たざる者は幸いである、と説教してやるだけでいい。イスラム教徒のサンタに関しては、ラマダンにタイミングを合わせる。仏教徒?尊公も即身仏になれる、とでも言っておけ(笑)」



・某日
フラミンゴにLIZ LISAのワンピースを着せてみたい。



・某日
彼女をたまらなくひどい目に合わせたくなる心理は事実だが、彼女にたまらなく恋い焦がれる言葉も真実だ。
そのことの証明になるかはわからないが、書いておく。わたしがおそろいという言葉を聞いてまっさきに思い浮かべたのは、並んでバスタブに揺れる死体だった。


彼女日記1

・某日
おおきなものが蛇口と間違えてわたしをまわす。苦しくなって水を飲む。上から飲んでも下から読んでも水道水。わたしは溢れてとまらなくなった。



・某日
今日は一日、「自分とどこまで抱き合えるか」というテーマに取り組んでいた。
まず手を繋ぐ。社会的なキスともいえる握手ではなく、指と指を絡める“恋人繋ぎ”の方。足の間の股と同じように、指の間の股には性感帯があると聞く。ためしに撫でてみるが、なんともない。ハードなのが好みなのだろうか。そう思い、つねってみたら、痛かった。



・某日
二日目。足の裏を合わせてみた。ざらざらしている。踏みしめたコンクリートに、踏みしめる足が似るのだろうか。



・某日
昨日まで秋だったが、今日から冬。寒いのはつらい。来年に備え、飛び越えようとする秋をヨーイ、ドンのまま捕獲する機を買う。



・某日
バッドブレインズというバンドのCDを聴く。ハードコアパンクとダブレゲエが交互に演奏される。なるほど、頭悪いズ。正直なのはいいことだ。



・某日
彼女と熱川バナナワニ園でデートした。ワニって熱帯の生き物なのにかわいそうね、と言うのでバナナだってそうだよ、と答えると、あらおそろいね!にっこり。こないだね、あんまりさみしかったから一人で手を繋いだんだ。あら、さみしい時はあたしだってそうするわ。おそろいかい?おそろいよ!
みすぼらしい服を着たわたしの言葉を裸にし、うっとりする匂いの夢をかぶせてくれる彼女の言葉。



・某日
「好きな女の子」という表現は重複ではないか。頭痛が痛い。犯罪を犯す。好きな女の子。重複ではない、おそろいなのだ。そう気付いたら涙が出た。やはり彼女は天才だ。
おそろい、おそろい、と口に乗せてみる。



・某日
ブックオフのアダルトコーナーで叩き売られていた映画『トコジョーズ』を見る。
アメリカのハイスクールのプールに迷いこんだ鮫が水着ギャルの処女膜を破りまくるという内容。経血に染まるプールの色彩美が見所と言えば見所だが、いずれにせよくだらない。鮫を解き放ったのがクラス中の女子にいじめられている“ファットボブ”だったというオチも暗い。ラストはボブが食いちぎられて童貞卒業。とにかく救いがなく、笑えない。