2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

拾ったんは偶然やない。きみがあんまりかわいかったせいや。だって生きとるか死んどるかも分からんねやもん。美しいに決まっとる。そんで右耳からふこーって息吹き込んだら左耳ぽーっ言いよんねんな。もうぼくたまらんくなって浜辺に頭打ち付けて笑たわ。よ…

絶対にふられない男、西くん

大好きな人と一生を添い遂げたいと願うのは恋する人間の常ですが、悲しいかな、出会いには別れがつきものです。いわば私達は出会った瞬間から別れはじめているわけで、別離はたがいを繋ぐ磁力が強ければ強いほど、苦い味をもたらすでしょう。あらゆる誕生は…

普通の日記

・某日君と普通の話ができたらどんなにいいだろう。ゆっくり腰かけて、どこにも寄りかからず、ためらいさえも泡立つような、そんな時間を過ごせたらどんなにか素敵だろう。君に話しかけようとする時、喉の奥に決まってなにかがつかえる。それは言葉なのだろ…

愛をひっかけるための釘

一人で寝たのにだれかと寝た気になって起きたら朝、そのだれかはいない安心のぶん、一人が悲しくなる。 寝ぼけながらそんなことを言って最初から一人だったのにね、と付け足す。ふわ〜あ。スポンジが開くような伸び。 朝。昨日の続きである、という事実がい…

水が流れる音がする。今年定年を迎える父のトイレは長い。うむ、むーん。いきむ声が時折聞こえる。あたしを生んだ時もあんなふうにいきんだのだろうか。「お父さんさ」「うん?」タオルで手を拭きつつ、振り向く父。顔が赤い。今日は会社で飲み会があったそ…

無題

悲しみ、または墓穴と覗き窓、あらゆるさかいめのあやふや、散歩する山高帽、透き通った孤独の反射板、こわごわすすむ真夜中はランチ、値段のかわりにその価値を知っていた唯一の本。アコーディオンの蛇腹は震えるダックスフント、またはあくびする猫。冷た…

うっとりちゃんとエクスタシーくん

昔々あるところにうっとりちゃんとエクスタシーくんという兄妹がいました。二人はなかよくベッドの上で生まれたのですが、いつもケンカばかりしていました。それというのも、うっとりちゃんが広がろうとすると、エクスタシーくんは縮もうとするからです。あ…

恋ってなんで終わっちゃうの?浮気ってどうやったら見抜けるの?

ズバリお答えしましょう。【ぼくたちの失敗、または、恋が立ち止まる理由】恋人ってだれ?それはかならず他人で、つまり“もう一人の自分”で、その中でも特に“自分に近しく感じられる他人”であるはずだ。他人のことはわからないが、もう一人の自分なら推測は…

おねしょの教科書

【おねしょ、または、台なしの美学】おこられちゃうおこられちゃう、ダメ!ダメ!積み上げた緊張のジェンガが一気に崩れる、やっちゃったーのあの瞬間は、実はやったーなのでもあって、たまらなく気持ちいい。おねしょはだれもが人生ではじめて経験する失敗…